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2020年戦力分析その9 ~阪神タイガース~

0. はじめに

 前田健太投手がトレードされそうですね。今年どこでやるにしても頑張ってほしいですが、できれば本人の希望でもある通年での先発ローテーションを任せられるチームに行ってほしいです。メジャーは中継ぎ投手の評価があまり芳しくないようですし、毎年シーズン終盤になると便利屋として良いように使い倒されているのは少々辛いものがありました。契約のことは正直よく分かりませんが、せめて彼が一番モチベーションを感じるところで投げさせてあげてほしいですね。さて、今回は昨年セ・リーグ3位となった阪神タイガースの戦力分析です。どうぞご一読を。

 

1. 2019年シーズンの総括

 前年度17年ぶりの最下位となったこともあり電撃辞任した金本知憲氏のあとを受けた矢野監督の一季目だった昨年の阪神タイガースは、9月に広島を追い抜き、見事CS圏内でシーズンを終えました。一年目なので上出来と言いたいところですが、西投手とガルシア投手を補強したシーズンであることを考えると及第点というところでしょうか。また、メッセンジャー投手や鳥谷選手が最後の年となり一つの時代の終わりを感じさせるシーズンでもありました。それでは、細かい部分を見ていきましょう。

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 まず、チーム防御率がリーグでダントツのトップだった投手陣はよく頑張りましたね。12球団唯一の防御率2点台だった救援陣はもちろん、消費イニングが12球団トップだった先発陣も良かったです。選手個人では、先発では西投手と青柳投手が規定投球回に到達しチームを引っ張ってくれたほか、2年目の左腕・髙橋遥人投手もイニングを優に超える125奪三振と確かな結果を残してくれました。昨年から外国人枠を外れていたエース・メッセンジャー投手が現役引退を決断したのは寂しかったですが、若い世代へ確かにたすきを繋いだシーズンでした。一方、救援陣ではドリス投手の代役として7年ぶりにクローザーに本格復帰した藤川球児投手が39歳にして華麗に復活、「まだまだ辞めないぞ」というベテランの底力も再確認させられました。能見投手や岩田投手も未だ頑張っていますし、常に最前線で闘うベテランが居るというのはこのチームの良いチームカラーですね。

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 その反面、対戦チームとの相性を見てみると反省点も浮かび上がってきます。まずは、これは野手陣の問題でもありますが、やはり失策の多さでしょう。2016年からの4シーズンで3回リーグ最下位(1回はリーグ5位)となる失策数を記録しており、昨年は19年ぶりとなる100失策超えも達成してしまいました。対広島戦や対ヤクルト戦、交流戦防御率と一試合あたりの失点数の乖離具合を見ても、失策が失点に直接繋がっていることが多いというデータになっています。失策が多ければ優勝は遠のくばかりなので、もっと投手と内野守備の連携を強めるというところから徹底することが大事になってきそうです。あとは、2012年から実に8年間も負け越しが続いている巨人への苦手意識でしょうか。先発防御率を見ても対巨人戦だけ高く、早い回で降ろされるケースが多いことが分かります。おそらく野手陣も含めて巨人に対するマイナスのイメージが蔓延していると思われますが、主力が若い世代へ移り変わる過程で払拭してもらいたいですね。

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 次に野手陣は、チーム得点数がリーグ最下位、本塁打数がリーグ5位と反省材料の多いシーズンでした。近本選手が新人安打数記録を更新するなど予想を大きく上回る活躍を見せたのは凄く良かったですが、やはり糸井、福留の外野の両ベテランをベンチへ押しのける若手が出てきていないというところが阪神の打撃陣の現状を表している気がします。糸井選手は打率もOPSも高いですし、福留選手は42歳にして甲子園を本拠地として2桁本塁打をマークできる長打力があり確かに壁は高いのですが、この二人が安心して控えに行けるだけの選手が台頭すればチーム力が格段に上がるだけに、今季は外野陣の奮闘に特に注目したいですね。

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 一方で、上記のスタメンの得点貢献のグラフ(灰色の棒)を見ると、面白いことにほとんどの選手がプラスの貢献をしていたことが分かります。これは投手の失点を相殺するくらいの最低限の打撃は各打者ができていたことを示しており、極端に打撃の穴となっているポジションは無かったことを示しています。ただ今年の投手陣が昨年ほど良いとは限らないので、投手次第では全ポジションがマイナスになる可能性も秘めており、打撃陣の全体的なスケールアップは欠かせません。特に打点を稼げる長打力のある選手がやっぱり欲しいと思えるデータになっていました。

 

2. 2019-2020シーズンの選手の動き・新戦力分析

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 昨オフの阪神は選手の出入りが激しいシーズンオフとなりました。まず投手陣ではメッセンジャー投手が引退し、さらにドリス投手とジョンソン投手がMLB復帰のため退団しています。メッセンジャー投手も昨年79.0イニングを投げていますし、今シーズン序盤は昨年バリバリの主力だった彼らの後釜探しに注力することになりそうです。穴埋めを期待する選手としては、ソフトバンクから無償トレードで中田賢一投手を獲得したほか、ソフトバンクを戦力外となっていたロベルト・スアレス投手を獲得、また新外国人投手としてジョン・エドワーズ投手とジョー・ガンケル投手を獲得しています。中田選手は先発も中継ぎもできる便利屋枠、スアレス投手、エドワーズ投手は救援投手としての起用が予想されます。そして先発での起用が予想されるガンケル投手は、コントロールの良い打たせて取るピッチングが持ち味の技巧派サイドスロー右腕です(下記成績参照)。内野守備を味方につけて、是非ジャパニーズドリームを掴んでほしいですね。

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 次に野手陣では、長年チームを支えてきた鳥谷選手が退団したほか、ナバーロ、ソラーテの両内野手自由契約となっています。これを受け、新外国人野手としてメジャー92発のジャスティン・ボーア選手とジェリー・サンズ選手を獲得しています。それぞれどんな選手なのか見てみましょう。

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 まずボーア選手は、昨年はエンゼルス大谷翔平選手と同僚だった一塁手です。マーリンズ時代にイチロー選手と同僚だったことを記憶している人のほうが多いかもしれませんね。マーリンズ時代の2017年にはシーズン25発、OPS.902をマークしたこともある大砲で、阪神が最も欲していたタイプの選手と言えるでしょう。春季キャンプでもその193cm、122kgの大きい体から快音を響かせており、早くもホームランアーティストの片鱗を見せ始めています。選球眼も良いということで出塁率も計算できそうですし、本場のメジャーリーガーの本領発揮となるところを是非見たいですね。

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 次にサンズ選手は、2012年あたりまでは3Aで成績を残していたもののメジャーではこれと言った成績を残せず、2017年以降は2Aメインとなり成績も低迷していた選手です。しかし2018年にKBOネクセン・ヒーローズに移籍すると風向きが変わり、親会社がキウムとなった昨年は通年で本塁打28本、OPS.939の好成績を残し打点王にも輝きました。KBOでの打撃成績がどれだけのものかは分かりませんが、右翼と一塁を守れるということなので少ないチャンスを掴む活躍に期待したいですね。

 なお、このオフの5人の新外国人選手の獲得により、支配下の外国人選手が8人という大所帯の編成になっています。外国人の調子を見極める矢野監督の手腕にも要注目です。

 そしてドラフトでは、最近は即戦力重視だったこともあってかドラフト1位・西純矢投手、同2位・井上広大外野手といった高校生を中心に指名しています。どの選手も将来のトラを担う選手なので、まずは鳴尾浜で研鑽を積んでほしいですね。

 

3. 2020年の戦力分析・オーダー予想

 最後に、今年の投手陣・野手陣の主な顔ぶれを見ておきましょう。

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 lastIN、lastGは昨シーズンのCSを含めたイニング数、登板数を示しています。先発陣は、ここ3年で複数回の規定投球回経験のある西勇輝投手以外は横一線といった感じでしょうか。岩貞投手や秋山投手のように、近年の阪神の先発投手はブレイクした翌年以降苦しんでいる投手が多いように思うので、昨年規定投球回に達した青柳投手が二年連続で成績を残せるかというところは注目したいですね。あとは、期待値を考えるとガルシア投手には救援投手ではなく先発ローテとして頑張ってくれなければ困るでしょう。ガンケル投手も居ますし、昨年と違い結果が出せなければ立場も危ういので来日一年目を思い出すピッチングを期待したいです。あとの席は、髙橋遥人投手、岩貞祐太投手、秋山拓巳投手らで回していくのが良いでしょうか。三振を取れる阪神の投手はエースの素質があるので、髙橋遥人投手は昨シーズン前半の調子を続けられるよう頑張ってほしいですね。そして、山本昌氏がバックに付いた藤浪投手にも今年こそ期待です。今年は優勝を狙う年なので、歓喜の輪の中心に彼が居るような復活劇を見せてほしいですね。

 ジョンソン投手、ドリス投手が抜けたリリーフ陣の穴は不安要素ですが、岩崎投手、島本投手らが力を発揮してくれるでしょう。より心配なのは、藤川投手や能見投手ら勝ちパターンで登板するベテラン投手の衰えでしょうか。特に藤川投手は残り7セーブと迫った日米通算250セーブは達成してほしいですが、年齢を考えるといつ崩れてもおかしくなく、近い将来後継者が必要になることは必至です。三振を量産してくれそうなエドワーズ投手にも期待ですが外国人枠がきつく、活躍具合によれば出番が限られてきそうなので、そうなるとやはり既存の日本人投手のより一層の奮起に期待したいですね(2020/2/15追記)。

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  野手陣のオーダーは、例によって3パターン考えてありますが、ボーア選手の加入に伴いコンバートとなるマルテ選手とベテランの糸井、福留両選手をどう使うかというところが争点になっています。まずパターンAはマルテ選手が三塁を守り、大山選手とスタメンを争うというオーダーです。マルテ選手は選球眼がありますし確実性はより高いバッターですが、大山選手にもランナーを還す力があるので激しいポジション争いが見れそうです。糸井選手、福留選手が万全なら開幕戦はこのオーダーが有力だと思います。

 次にパターンBは大山選手がマルテ選手とのポジション争いに勝った場合のオーダーです。この場合は、大山選手にはクリーンナップとして成長に期待したいですね。サンズ選手は糸井選手、ボーア選手のバックアップとしての活躍にまずは期待です。左投手対策としてスタメンでも使えるようなら面白いですね。

 そしてマルテ選手と大山選手を両方使うオーダーがパターンCです。マルテ選手を経験のある左翼手として使えば、ボーア選手とともに共存させることが事実上可能です。年齢を考えると、このクリーンナップが一番長打力を期待できるのではないでしょうか。どのオーダーでも一番警戒されそうなボーア選手の後ろを打つ打者が重要になってくると思うので、大山、マルテ両選手は最低でも成績を維持してほしいですね。

 なお、パターンBでは福留選手を抜き、パターンCでは糸井選手も抜いたオーダーにしていますが、昨年と同じようにこのような事態が絶対に起こりうるので、髙山選手、中谷選手を始めとした外野陣はいつでもスタメンで行ける準備をしていてほしいです。先程も述べたように、このベテラン二人をベンチに追いやることがチームの未来のためになるので、サンズ選手やマルテ選手というライバルに負けずにアピールしてほしいです。彼らが台頭すれば、日本一はもうすぐそこです。

 

4. 終わりに

 以上、今年の阪神タイガースの戦力分析でした。矢野監督には前例を見ない複雑な選手のやり繰りも求められますが、各選手が能力を最大限発揮できるような運用をしてほしいですね。大変ですが体調にも気をつけて、是非35年ぶりの日本一を成し遂げてほしいです。

 次回は、優勝を逃し4位に沈んだ広島東洋カープの記事になります。それではまた。

 

5. 参考サイト

NPB.jp 日本野球機構

プロ野球 - スポーツナビ

データで楽しむプロ野球

- nf3 - Baseball Data House Phase1.0 2019年度版

FanGraphs Baseball | Baseball Statistics and Analysis

STATIZ(KBOのデータサイト)